製薬企業のデジタルマーケティング推進を支援するCACの取り組み

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の拡大は私たちの社会に大きな変化をもたらし、様々な業界の企業の活動に大きな影響を与えています。製薬企業も例外ではありません。
こちらでは、製薬企業におけるマーケティングの変化と製薬企業のデジタルマーケティング推進を支援するCACのソリューションについてレポートします。

コロナ禍で変わる製薬企業のマーケティング

コロナ禍がもたらした社会変容を背景に、製薬企業を取り巻く環境は大きく変化しており、製薬企業におけるマーケティングにも影響を与えています。

従来、製薬企業では、医療従事者に自社の医薬品情報を提供するMR(Medical Representative)が実質的な営業機能を担ってきましたが、製薬企業各社はコロナ禍前から営業活動の効率化を進めており、MRの数は2013年をピークに減少傾向にありました。コロナ禍の下で感染拡大防止のために各病院からMRの訪問自粛要請がされたことがこの流れに拍車をかけました。

MR数の推移
MR数の推移
出典:「2021年版 MR白書-MRの実態および教育研修の変動調査-」(公益財団法人MR認定センター)

一方、医師が医療情報を取得する手段としてインターネットの利用が浸透し、医師への情報提供の手段としてデジタル技術の活用も拡大しています。

こうした流れの中で、製薬企業各社はDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを進め、デジタルマーケティングへの需要が高まっています。これまでMRが担ってきた対面による医療従事者とのエンゲージメント(信頼関係)の構築について、デジタル技術を活用した非対面のコミュニケーション施策による推進へとシフトしているのです。

主なコミュニケーション施策には、オウンドメディア(Webサイト、会員制サイト)、オンラインセミナー(ウェビナー)、オンライン面談、メールマガジン、動画コンテンツなどがあります。

このうち、オウンドメディアは、製薬企業自身が運営して、医療従事者などのユーザーに対し、自社製品の情報やユーザーのニーズを満たすコンテンツによる情報の発信を行なうメディアです。例えば、医薬品の製品情報や安全性情報を発信する医療従事者向けサイトや、患者向けに疾患情報や治療法などの情報を発信するサイトなどです。
オウンドメディアは、製薬企業のデジタルマーケティング戦略におけるコミュニケーション施策の中心であり、現在は、各社がこうした医療従事者向けサイトのコンテンツの充実などに注力しています。

CACの医療従事者向けサイト構築・運用サービス

こうした状況を受けて、CACは2022年7月から製薬企業向けに医療従事者向け会員サイトプラットフォームの構築・運用サービスの提供を開始しました。

本サービスでCACが主な対象としているのは、一般的な医療従事者向けのサイトではなく、会員限定のコンテンツを備え、会員を募る形態の医療従事者向けサイト(以下会員サイト)です。製薬企業と医療従事者の接点を創出する観点では、会員サイトの方が様々なマーケティングチャネルの軸となるプラットフォームとしてより効果的に機能するとCACでは考えています。

本サービスでは、CACが会員サイトの設計・構築から保守・運用までをワンストップで提供します。
サイトの構築はインフラを含めたクラウドサービスによる提供が可能で、この場合、製薬企業は自社でITインフラ環境を準備することなくスムーズにサイトの運用を開始することできます。また、製薬企業の自社管理環境(オンプレミス、クラウド)での構築にも対応が可能です。
サイトの構築と運用にはCACが開発したCMS(コンテンツ管理システム)パッケージ「CPSCMS」を用いており、製薬企業の要望に沿ったコンテンツ掲載やサイト設計に柔軟に対応することができます。また、本サービスで構築するサイトは、医療関係者向け共通IDサービス「medパス※」と連携したログイン認証システムも提供可能です。これにより、medパスアカウントを取得済みのユーザーは新規サイトへの登録とアクセスが容易になります。

本サービスにおけるシステム構成イメージ
本サービスにおけるシステム構成イメージ

CACの独自開発CMS「CPSCMS」

「CPSCMS」は製薬企業の医療従事者向け会員サイトを構築するため、CACが開発した動的CMSに分類されるコンテンツ管理システムです。動的CMSでありながら、静的CMSの要素も併せ持ち、静的ページへのサーバー処理の埋め込み(CPSスキーム)によりヘッドレスCMSを実現します。
「CPSCMS」は高品質なアプリケーションを高速開発するためにCACが開発したWebアプリケーションフレームワーク「CPS Framework」を基盤にしています。「CPS Framework」は以下のような特長を備えています。

  • 高速・軽量なphpフレームワークにCAC独自のノウハウをアドオン
  • REST機能を標準実装した高拡張性を有しており、幅広い用途に対応可能
  • レスポンシブデザインを採用し、単一ソースコードでデバイスフリーなUIを提供
  • 定期的なセキュリティ診断により最新のセキュリティ対応を実施

「CPSCMS」は会員サイトの運営に必要な「会員登録・管理」「コンテンツ管理・配信」「ログイン・ログアウト」といった機能を標準で備えているのに加えて、その他の機能の追加もCPS Frameworkを活用して容易に行えるのが大きな特徴です。この特徴を活かして、製薬企業それぞれの要望に沿ったサイト構築が可能であり、ウェビナーやバーチャル展示会などのコンテンツ運用や外部サービスとの連携も容易です。

CACの製薬企業向け営業支援ソリューションと連携

本サービスで構築した会員サイトをCACの製薬企業向け営業支援ソリューションと連携させることで、製薬企業は効率的かつ効果的なデジタルプロモーションの推進が可能になります。

例えば、CACの「Promotion Mail(プロモーションメール)」は、構築した会員サイトに登録した医療従事者に向けて、メルマガによる情報発信や、MRによるメールでの情報提供の際に必要な情報を最適なタイミングで提供することを可能にします。また、製薬企業向けのSFA/CRMである「MR-Navi」はMRが必要とする情報の収集をマルチチャネルで可能にし、MRの効率的な活動を支援します。
そして、「Promotion Mail」「MR-Navi」を含めた機能をマスタ管理基盤(MDM)とともにクラウドサービス(SaaS)で提供する「MR-Navi 統合営業支援クラウド」では、本サービスとの連携が標準で組み込まれているため、製薬企業はシステム間の調整をすることなく、構築した会員サイトを起点にしたデジタルプロモーションがすぐに開始できます。

こうした会員サイトと各ソリューションの連携により、例えば、会員サイトに登録した医療従事者へウェビナーなどデジタルを活用した情報提供の後に、さらに情報を求めている医療従事者に対してMRから個別にアプローチしてフォローアップを行なうなど、製薬企業のデジタルプロモーションにおける「企業・製品の認知」「製品への興味の喚起」「製品理解の深耕」「フォローアップと処方促進」といった顧客ステージごとに、デジタルとMRを連動させた最適なチャネル戦略の実施が可能になります。

医療従事者向け会員サイト
構築・運用サービスの詳細はこちら

製薬企業や医療従事者を支援するCACの取り組み

CACが提供する製薬企業の営業向けサービスには、営業系領域のアウトソーシングサービスもあります。IT導入の企画・要件定義・開発・導入後の運用までを含めたフルアウトソーシングから、製薬企業に導入済みシステムの運用のみなど、一部業務に限定したアウトソーシングまで柔軟に対応することが可能です。長年にわたり製薬企業の幅広い業務を支援してきたCACの経験を活かし、高品質で安定したアウトソーシングサービスを提供します。

また、CACは2022年6月に千葉大学医学部附属病院および株式会社メディエイドとともに「医師間オンラインコンサルテーションシステム」の実証実験(PoC)を開始しました。本システムは、オンラインで地域医療機関の医師と大学病院や専門病院の医師が症例のコンサルテーション(相談)を行なうためのシステムで、本PoCはデジタル技術の活用により地域医療機関の医師が抱える課題に対応し、高度で専門的な医療が必要な患者の方に適時・適切な医療提供が行われる可能性を高めるための取り組みです。

CACは今後も、製薬業界や医療業界における課題にデジタル技術を活用して解決する取り組みへの支援を続けてまいります。

 

  • 株式会社medパスの提供するサービスで、製薬企業での導入実績も多数。また、ユーザー認証はmedパス単独での運用も可能。

 

[参考資料]
2021年版MR白書-MRの実態および教育研修の変動調査-(公益財団法人MR認定センターホームページ)
SMBC日興証券株式会社「ヘルステック業界アップデート‐合従連衡が進むヘルステック、多極化する勢力図と変化軸を考察‐」

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