感情認識AIフロントライン

CACが取り組みを進めている感情認識AI。

2016年の販売開始以来、毎年様々な取り組みを進めてきましたが、2020年は、金融業界での大規模な利用事例や、新たなサービスの提供開始などの話題がありました。

こちらでは、感情認識AI「Affdex(アフデックス)」の2020年の主な取り組みについてレポートします。

明治安田生命が全国の営業職員用アプリとして採用

2020年3月、明治安田生命は、全国3万2000人の営業職員が持つ社用スマートフォンにアプリ「AIロープレ」を導入し、テスト運用を経て、現在アプリの利用を進めています。

CACが明治安田生命と共同で開発した「AIロープレ」は、感情認識AIの活用により、営業職員が自らの表情チェックやトークスキルのセルフトレーニングをスマートフォンでできるアプリです。

このアプリで利用されている感情認識AIが、スマートフォンのカメラに映った利用者の顔の表情筋の動きを解析して、相手にどのような印象を与えるのかを採点、分析しています。

アプリでの練習イメージ
アプリでの練習イメージ

金融業界、そして保険業界での最新テクノロジーを積極的に活用している企業の事例としても、同社の取り組みは注目を集めています。

CAC、AI を活用したトレーニングアプリを明治安田生命の営業職員向けスマートフォンに提供
~ 約32,000人が表情トレーニングやトーク内容の分析に利用開始 ~

改良を重ねてきた表情トレーニングアプリ「心sensor for Training」

明治安田生命で導入されたアプリは、感情認識AI によるCACの表情トレーニングアプリ「心sensor for Training」をベースに開発したものです。

「心sensor for Training」は、感情認識AI分野における世界のリーディングカンパニー米Affectiva, Inc.の感情認識AI「Affdex(アフデックス)」を使用しています。

PCやタブレット端末に搭載したカメラで、AIが対象者の顔の表情筋の動きを解析し、どのような印象を与える表情であったかを採点・評価します。

「心sensor for Training」の採点イメージ
「心sensor for Training」の採点イメージ

感情認識AIは人の表情から感情を推定する技術ですが、これを応用して、「伝えたい感情」から「望ましい表情」という展開を設定して表情トレーニングに役立つよう設計したのが、「心sensor for Training」です。

「心sensor for Training」のより詳細な情報は以下のリンクからご覧いただけます。

サービス紹介|心sensortraining|Affectiva×シーエーシー

Webコミュニケーションを円滑にする
「心sensor for Communication」提供開始

2020年10月、CACは感情認識AIを活用した新たなサービス「心sensor for Communication」の提供を開始しました。

「心sensor for Communication」は、Web会議などの参加者の画像から、その反応や感情、ジェスチャーを画像認識AIで読み取り、カメラ映像を加工して結果を画面上に表示します。
結果は実際の顔の映像だけではなくアバター(分身)表示も可能です。アバター表示では、画像認識AIにより読み取ったユーザーの反応等はアバターの表情や背景色に反映されます。

「心sensor for Communication」のアバター表示例
「心sensor for Communication」のアバター表示例

さらに、「心sensor for Communication」ではAIが認識した各ユーザーの結果をサーバー上で集計し、結果をアプリ内のビューアー画面で表示できます。これにより、Web会議などの参加者全体の雰囲気や傾向をビジュアル化して把握・分析することが可能になります。

Webコミュニケーションで活用が進むアバター

新型コロナウイルス感染症拡大を機にWeb会議などが急速に普及し、私たちのコミュニケーションのあり方も変化しようとしています。

会議や面接、診療、授業など、これまで対面が主流だった様々なコミュニケーションがオンラインとカメラを利用した形態に移行しつつあります。

安全で便利になる反面、新たな課題も明らかになってきました。
例えば、「自分の顔を表示していることに抵抗がある」「散らかった部屋を見られたくない」などの理由でカメラをON にするのに抵抗感がある人がいます。
また、カメラがOFFだと、「参加者の反応がわかりにくい」という声もあります。
これらの課題が、オンラインでの円滑なコミュニケーションの障害となる可能性があります。

こうした時にアバターを利用することで、オンラインでの会議などに参加する抵抗感やハードルが下がり、参加しやすくなると考えられます。コミュニケーションが活性化し、積極的な参加や発言も引き出しやすくなるかもしれません。

オンラインコミュニケーションでのアバター活用は進んでおり、アバターを利用した企業の内定式やアバターで遠隔接客を行う小売店の試みなどの事例も出てきています。

「心sensor for Communication」ならば、アバターが表示されるだけでなく、アバターの表情や背景色に参加者の感情分析の高精度な結果が反映されるので、より臨場感のある、リアルに近いコミュニケーションが可能になります。

「心sensor for Communication」のより詳細な情報は以下のリンクからご覧いただけます。

サービス紹介|心sensorCommunication|Affectiva×シーエーシー

コロナ禍でのスポーツ大会を感情認識AIが盛り上げる!

感情認識AIはスポーツ分野での活用も注目されています。

2020年9月25日~27日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になったフェンシング競技全国高校総体(インターハイ)の代替として、オープン大会「High School Japan Cup 2020(ハイスクール・ジャパン・カップ・2020)」が神奈川県箱根町で開催されました。

新型コロナウイルス感染症拡大抑止のため、無観客で開催されたこの大会をCACは、凸版印刷、シスコシステムズとともにサポート。来場できない家族や友人、競技関係者に試合の映像を届けるリモート観戦システム上に表示するアプリに感情認識AIを活用して、大会の盛り上げに一役買いました。

High School Japan Cup 2020応援専用アプリ「Emo-Cheer(仮)」は、自宅など会場外でPC画面から試合を視聴する観戦者の応援を試合会場の選手たちに届けることができます。

「Emo-Cheer」(仮)のWebサイト(https://hsjc2020.hpshare.info/)
「Emo-Cheer」(仮)のWebサイト(https://hsjc2020.hpshare.info/)

このアプリは「心sensor for Communication」の技術をベースに開発されたもので、観戦者のリアクションと感情を分析、可視化します。その結果は「頑張れ」「ガッツポーズ」「拍手」などの反応としてリアルタイムで観戦者同士に共有されるだけでなく、拍手の音や歓声として会場にもフィードバックされます。

これにより、迫力ある臨場感や会場との一体感を演出するとともに、熱戦を繰り広げる選手のモチベーションアップにも貢献することができ、スポーツ分野における感情認識AIの新たな活用の可能性を感じさせる事例となりました。

凸版印刷・シスコ・CAC、高校生フェンシングの日本一を決める大会を支援インターハイの代替大会である「High School Japan Cup 2020」において会場内の安全対策やリモート観戦システムなどをサポート

High School Japan Cup 2020 公式Facebookアカウント
https://www.facebook.com/High-School-Japan-Cup-2020-103836068020266/

海外先進事例やメディア登場も-今後の展開は

上記で紹介したほかにも、中国の上海では、銀行のオンラインローン審査に感情認識AIが利用される事例も出てきています。質問に答える融資希望者の表情を分析し、事前に設定したマイナス表情の評価値を超えたりした場合に質問者のパソコンに警告メッセージを出し、別の質問を促す仕組みです。これにより、貸し倒れを抑えるなどの効果が出始めています。このシステムを開発したCAC上海では、ローン審査だけでなく、銀行のサービス満足度の調査にも感情認識AIを活用できるソリューションを検討・提案しています。海外の金融分野における感情認識AI活用の先進的な事例と言えるでしょう。

また、感情認識AIはメディアからの注目度も高く、2020年はBS-TBSの報道番組で、テレワーク普及下での最新技術活用例として、先述した明治安田生命でのアプリ利用や「心sensor for Communication」の開発が大きく取り上げられました。

CACは新しい時代のソリューション・コンセプトとしてHCTech(Human Centered Technology)を提唱しています。

HCTechのコアになるテクノロジーが「人を察し、人を活かし、人を健やかにするAI」です。
感情認識AIはHCTechの主要な技術の1つであり、来年以降もCACでは、新たなビジネスや価値の創出等のために感情認識AIを活用したソリューションの開発を進めていきます。

以下のAffectivaのサイトではより詳しく、感情認識AIとソリューションを紹介しています。

ぜひご覧いただき、サービスの開発や活用について、お気軽にご相談ください。

Affectivaサイト
Affectivaサイト

人の感情を認識するAI「Affdex」|Affectiva×シーエーシー

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