キリンビジネスシステム株式会社

「非連続の成長」実現に向け、協業する戦略的
パートナーの候補としてCACを選択





PROFILE

キリンビジネスシステム
株式会社

1988年5月設立。2007年、キリンのホールディングス化にともない、キリンビールの情報企画部門を統合し、キリングループの情報戦略および情報システムを統括する機能分担会社となる。以後、キリン各社の情報部門を逐次併合しつつ、現在に至る。
2009年3月、キリンの綜合飲料戦略に呼応して、海外支援部門を発足。IT戦略策定から案件の実行までのITライフサイクル全般に関わり、情報システムのガバナンスを通じたグループ情報戦略の全体最適を主導する。

URL:http://www.kirinbs.co.jp/
キリンビジネスシステム株式会社
取締役
経営企画部長
小原 覚 氏
1. はじめに 
2. 「非連続の成長」に取り組むキリングループの情報システム機能を担う 
3. 中期計画策定に先立ち情報化戦略を策定 
4. KBSにおけるアウトソーシングの位置付け 
5. KBSの最初の戦略的パートナー候補としてCACを選定 
6. おわりに
1. はじめに
 キリンビジネスシステム株式会社(以下、KBS)は、キリンホールディングスやキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンなどの、キリングループ企業の情報システム開発、情報システム運用、ユーザー情報活用支援などを行っている。グループ全体の経営戦略をふまえながら、情報技術を活用し、各事業会社のビジネスの発展に貢献している。
 現在、キリングループは、長期ビジョンである「キリン・グループ・ビジョン2015(以下、KV2015)」を掲げ、この達成に向けてさまざまな取り組みを進めている。その中でKBSは、IT(情報技術)の側面からグループ各社のビジネスを支援するという役割を担っている。当然、カバーすべき業務領域や作業量は拡大しており、自社だけの人的リソースですべてをまかなうことが不可能になってきている。

 「アウトソーシング」は、このような人的リソース、特に専門特化した技術者などの不足を補う上で不可欠なものと言えるだろう。キリングループの長期ビジョン達成に向け、KBSが重要課題と捉えているアウトソーシングの位置付け、そして、アウトソーシング・サービスを提供していただいているCACの役割や担当業務内容と今後の期待についてご紹介したいと思う。
2. 「非連続な成長」に取り組むキリングループの情報システム機能を担う
2.1 非連続な成長に向け、行動や組織構成を変革
 過去、緩やかな成長路線を目指しながらビジネスを展開してきたキリングループだが、現在のビジョンであるKV2015では、「非連続な成長」をキーワードにしている。非連続とは、これまでの連続した成長カーブの枠を超えた急角度な成長を意味する。そのためには、ものの見方や行動、さらには組織構造までを、新しい視点から考え直すことが必要となってくる。既にご存じのとおり、キリングループでは、2006年末のメルシャン社、2007年10月の協和発酵社、11月のオーストラリアのナショナルフーズ社と、積極的な戦略的提携を次々と発表している。「最近のキリンは今までとは違う」と感じている方も多いのではないかと思う。

2.2 グループ内唯一の情報システム部門に
 KBSは1988年5月に設立され、2008年には創立20周年を迎える。当初はキリンビールの情報システム部門で企画された戦略課題を遂行する事業会社だったが、KV2015の路線の中で、2007年7月に純粋持株会社制が導入された際、情報システム部門における企画立案の機能もKBSに取り込むこととなった。これにより、キリングループ全体における情報システム関連の企画とその遂行の両方を担う会社という位置付けとなった。現在、キリンホールディングスには情報システム部門がなく、それらの機能すべてがKBSに移管されている。さらに、2008年4月には、キリンビバレッジについても、同様に情報システム部門の機能をKBSへ移管した。
 このように、今後の大きな組織変革の流れの中で、グループ全体の情報システム機能がKBSに集約される予定となっている。
詳細については、図1「キリングループにおけるKBSの位置付け」を参照されたい。

図1「キリングループにおけるKBSの位置付け」

3. 中期計画策定に先立ち情報化戦略を策定
 長期ビジョンであるKV2015に対し、もう少し短い期間でグループ各社がその戦略を計画するのが中期計画である。2007年から2009年までがその最初の3ヵ年となる。
 KBSでは、各事業会社の中期計画策定に先立ち、計画期間中に遂行する「情報化戦略」を作成し、グループ各社へ配付した。この中で取り上げている主要テーマは、下記に示す4点である。

● グループ全体での共通ルールの整備
● インフラストラクチャの共通化
● シェアードシステムの確立
● 個別業務アプリケーションの開発
  1. グループ全体での共通ルールの整備
     セキュリティ対策を中心に据えた共通ルールを整備する。具体的には、個人情報の管理や、情報漏洩・情報改竄対策などから、物理的な安全対策、例えば入退室管理まで含め、グループ全体として達成レベルを定めた上で、それを各事業会社で実施していこうというものだ。「グループ全体での情報セキュリティポリシー」と言えるだろう。企業規模に関わらず、すべてのグループ会社が対象となっている。
  2. インフラストラクチャの共通化
     今後、2009年までの中期計画の期間中に、主要なグループ会社のITインフラストラクチャを共有化する計画である。対象範囲はハードウェアに加え、OA(Office Automation)分野――ポータル、メール、掲示板、チームサイト、ワークフローなど――も含むものとなっている。
  3. シェアードシステムの確立
     キリンビジネスエキスパートは、グループ内の間接業務(人事、経理、購買など)を集中管理することを目的として、2007年7月に設立された機能分担会社だ。現状は、旧キリンビールから分割された4事業会社の間接業務を担当しているが、将来的には、全グループ会社の間接業務を集約する予定となっている。そして、これらの間接業務を支援するための仕組みとして、共通で使用できるパッケージシステムを導入する計画である。
  4. 個別業務アプリケーションの開発
     グループ各社の事業戦略を支援し、「非連続な成長」をもたらすために、それぞれの要件に合わせた個別の業務アプリケーションの開発を進めていく。

 なお、中期計画の実施にあたっては、1年ごとに、その実績を評価し、得られた経験則などを次に活かすというPDS(Plan-Do-See)サイクルを推進している。

4. KBSにおけるアウトソーシングの位置付け
 現在、KBSの社員数は約250名だが、原宿本社、広尾、そして三鷹のコンピュータセンターの3拠点で稼働しているKBSの関係者数は、既に500名を超えている。KBSの業務に関わる人員の半数以上が外部リソースとなっている。
 現状でもそれだけの仕事があり、さらに今後は、グループ内の他の事業会社に対する支援も必要となるため、人員はさらに増加することになると予想される。このような状況下では、自社ですべての人材をまかなうことは難しく、外部リソースによる支援が必須となってくる。

4.1 社員は業務知識、企画提案力を追及
 外部リソースを最大限に活用するためには、委託する側と受託する側の明確な役割分担が重要となる。これについては、私達KBSの社員は自社の強みを活かした業務に特化し、それ以外の業務については、最適な外部の会社に機能を担っていただくことを考えている。アウトソーシング利用の最大の目的は、そこにある。

 KBSとしては、次の3つの強みを柱としていくつもりである。1つ目は、専門性の高い「豊富な業務知識」を持っていることだ。これまでに培われた経験により、グループ内の各事業会社の業務に関する幅広く深い知識を有している。2つ目は、「企画提案力」。「豊富な業務知識」を背景に、ユーザー部門からの要求に対して、ただ受身の姿勢で対応を行うのではなく、自ら業務に入り込んで提案していくようなアクションをとることができる。そして3つ目が、ITの専門家としての「情報技術力」である。
 これらの中で、外部の会社と比べたときに、本当に自社の強みとなるのは、「業務知識」と「企画提案力」だと考えている。

4.2 アウトソーシング先との関係を3種類に分類
 KBS社員が持てる強みを十分発揮するために、その他の業務機能は専門的な能力を有する協力会社に担っていただく。前述のように、これがアウトソーシング活用に向けた基本的な考え方である。そして、このような関係において、今後は協力会社を、取引の内容によって、「ベンダー」、「コラボレーター」、「パートナー」の3種類に分類し、それぞれの関係強化を図っていくこととした。

  1. ベンダー
     ハードウェア/ソフトウェアなどITに関連したすべての調達先を指す。適正な契約関係の維持、コンプライアンスの徹底など、公正な取引を推進していく。
  2. コラボレーター
     主に開発や運用を委託している会社で、継続的な取引が行われている協力会社を指す。コラボレーター企業との間では、年に1回、キリン側のPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)がKBS各部署にヒアリングを行った上でパフォーマンスの評価を行う。この結果は、相互に改善点を認識・共有し、翌年以降に実際の改善活動を行うなど、ポジティブな目的に使用される。
  3. パートナー
     KBSとの間で、お互いが深く理解し合い、それぞれの強みを活かして高め合う、弱みを補い合う関係、言わばWin-Winの関係を築けるような協力先を戦略的パートナーと位置づけていく。もちろん、このような関係を築ける企業は数少ない。

参考として、情報システム機能の分担について、戦略/オペレーション/IT/業務という4つの視点から分類したチャート図を図2に示す。


図2 情報システム機能分担に関する基本方針

 図2の右上に向かうに従って、よりビジネスの根幹に近い業務となってくる。
 協力会社をその期待する役割によって3種類に分類し、それぞれの特色に応じて、図2のうちどの業務を担当していただくかを決める。また、協力会社との役割分担の明確化を図ることによって、KBSは、本来注力すべき、強みを活かした業務に時間を費やすことができるようになる。

5. KBSの最初の戦略的パートナー候補としてCACを選定
 変革の時期にあるキリングループにとって、共にビジネスを推進するアウトソーシング先の選定は非常に重要だ。中でも、戦略的パートナー選定については、慎重な判断が必要となる。
 実は、KBSでは、この戦略的パートナーの候補として、CACを選定した。Win-Winの関係を築けると期待したわけだ。この背景には、両社の間の長期にわたる良好な関係や、共に築いてきた実績などもあるが、端的に言えば、「CACに対する高い評価と将来に向けた期待」がこの結果に込められていると考えている。
 昨年末に、両社トップ間で戦略的パートナー関係構築の目的と方向性を確認し、本年1月からは共同のプロジェクトを編成して領域ごとにアウトソーシングの可能性の検討を開始している。

5.1 開発、インフラ構築、センター運営においても最大の取引先となっているCAC
 CACとキリンの取引は、80年代の後半に始まった。20年を経た現在、CACは、アプリケーションの開発においても、インフラの構築においても、さらにセンター運営においても、最大の取引先となっている。
 ただし、従来の関係は、他の協力会社と同様で、業務の委託先と顧客という域を出ていなかった。今回検討している戦略的パートナー関係の中では、特定の業務機能を担うという意味で、CACの皆様には、「自分たちはKBSの1部門として業務を遂行している」という意識を持っていただくことを期待している。
 戦略的パートナーの役割には、開発・運用に関わる業務領域においての協業に加え、もう1つの大きなテーマとして、「人材育成」という役割がある。この点でも、CACは多くの協力会社の中で先がけ的な位置付けとなっている。例えば、KBSからCACへ社員が出向し、CACの立場でプロジェクトに参画することにより幅広いIT関連の技術/ノウハウを習得する、あるいは、逆にCACからKBSへ社員が出向いただき、KBSの立場で業務に従事することを通じてキリングループの業務知識や風土を理解する、などの取組みを数年前から行っている。今後は人材育成の視点から、これらの規模を拡大し、相互に人を育てていく流れが強まると思う。さらに、合同の研究会や交流会なども計画していく。

 このようにCACは、単なる仕事の発注先ということではなく、お互いが高め合い、より成長するためのパートナーという位置付けになっている。

5.2 今後への期待:さらに一歩踏み込んだ位置付けに
 キリングループの新体制の下で、KBSは、機能分担会社となった。事業会社ではなく、コストセンターの位置付けとなったわけだ。そのためコストに関して、今まで以上に高いハードルが設定されてくる。すなわち、「適正コスト」というよりも、具体的な「コスト削減」が求められてくる。業務機能や資産、各種リソースの集中を図ることにしており、そこからもコストメリットは得られるが、それ以上に、開発や運用における生産性の向上によるコスト削減が求められてくるだろう。

 このような厳しい状況の中、CACに期待するものは多岐にわたる。
 まず、顧客と業者という業務受託の関係ではなく、機能を分担するパートナーとしての感覚を持っていただくことを希望する。過去には、強力なリーダーシップや技術力を持つCACの担当者が両社の関係を強固なものにしてきたが、業務量が増え、人員が増大するにつれ、このような個人に依存した運用は難しくなってきている。しかしながら、ビジネスの現場で業務を推進するのは、それぞれの担当者だ。必要となるのは、各担当者の意識の中に、KBSが求めているものが明確にイメージされ、その中で自分が何をすれば良いのか、何を期待されているのかということを理解し、行動に移すことだ。これが戦略的パートナーとしての意識だと考えている。
 また、CACが持つ専門性、強みといったものを最大限に活かした積極的な提案を期待している。この中には、特定製品や技術領域に関わるノウハウだけではなく、物流や経理といった業務領域やセンターオペレーション、コールセンター、障害対応といったシステム運営に関する内容も含まれる。
 さらに、人材育成への協力もお願いしたい。先に紹介したとおり、CACとKBSの間では、既に人材交流が行われているが、お互いの会社の企業風土を理解したり、人脈を作るなどの意味を含め、今後、より積極的な協力をお願いしたい。

6. おわりに
 最後になるが、ビジネス関係を持つ2つの会社の間でWin-Winな関係を築くことは容易ではない。慣れ合った関係から生まれる「甘え」の対局にある「厳しさ」が、そこには必要になるからだ。二十数年にわたり良好な関係を持つCACにも、このような厳しさを理解いただきたい。その上で、これまで以上の協調関係が育まれることを期待している。そして、このような関係こそが、キリングループだけでなく、CACグループの「非連続な成長」をも創造するものであると確信している。

※記載事項は2008年5月現在のものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
  また、本事例紹介は、情報提供のみを目的としています。CACは、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
■お問い合わせ先
AMOユニット AMO営業部
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TEL:03-6667-8033  FAX:03-5641-3173
E-Mail: outsource@cac.co.jp  URL:http://www.cac.co.jp/