顔認証決済サービスの社内実証実験の取り組み

「顔認証」と聞いて真っ先にスマートフォンを思い浮かべる方は多いと思います。パスワードを入れなくても簡単にロックが解除され、アプリでの買い物の際もスムーズに購入することが可能です。また、コロナ禍の影響による非対面、非接触の取引ニーズの高まりと共に、キャッシュレス決済の利用が拡大し、セキュリティが必要なシーンで顔認証も導入されるようになってきました。

CACでは数年前よりこの顔認証技術に注目し、顔認証を決済手段として活用できないかと開発を進めてきました。顔認証決済は、目や鼻、口など顔の特徴データにより人を識別する技術を本人確認などの認証方式に利用した決済手段です。

顔認証決済は利便性とセキュリティ性に優れた決済方法として、今後さらに普及することが予想されることから、CACでも顔認証決済サービスの社内実証実験に2022年から取り組むことになりました。この社内実証実験は、顔認証決済システムの開発と評価、そして保守の技術やノウハウを蓄積し、今後サービス展開することも視野に入れたものです。

今回はこちらの取り組みについてレポートします。

実証実験の開始

CAC本社ビルで2019年12月より展開している「ミニストップポケット」。ミニストップ株式会社がサービスを提供する、オフィス・工場・病院・ホテル・休憩所などあらゆる施設内に設置が可能なキャッシュレスセルフレジを使用した無人コンビニです(https://mspocket.ministop-fc.com/)。

社内で飲み物や食べ物などがキャッシュレスで気軽に購入できることから、多くの社員が利用しています。これまで決済方法は、交通系カード、クレジットカード、QRコード決済などが選択できていましたが、ミニストップとCACの協業により、サイバーリンク株式会社のFaceMe®を使用した顔認証決済サービスの実証実験が2022年2月25日から開始されました。

対象は約1,100名の社員。予め専用サイトで顔認証決済の登録をしておけば、スマートフォンやクレジットカードを使用することなく、手ぶらで買い物することができます。このサービスを利用して商品を購入した費用は翌月の給与から天引きされる仕組みになっています。

CAC社内の「ミニストップポケット」
CAC社内の「ミニストップポケット」

顔認証決済サービスの利用の流れ

サービスの利用前にはまず専用サイトで顔情報を事前登録しておく必要があります。カメラで撮影し登録した顔情報(顔特徴点)はデータベースに保存され、買い物の際は以下の流れでスムーズに決済することができます。

ミニストップポケットは無人コンビニのため、決済までをすべて利用者自身が行います。まずセルフレジで商品をスキャナーでスキャン(①)した後、決済画面で顔認証決済を選択(②)します。すると認証画面が表示され、予め登録しておいた顔情報と照合して認証を行い(③)、決済が完了します(④)。今回の実証実験の場合、顔認識・顔認証の開始から終了までの時間は3秒以内であることを目標としています。

顔認証決済で利用した購買情報は、利用者自身が専用サイト上で決済日時と利用額の一覧を確認することができます。また、月次の顔認証決済の利用上限額を設定することも可能です。

決済までの流れ

製品をスキャン

① 製品をスキャン

決済方法で「顔認証決済」を選択

② 決済方法で「顔認証決済」を選択

顔認証決済が実施される

③ 顔認証決済が実施される

決済完了

④ 決済完了

顔認証決済サービスの開発

顔認証決済サービスには、サイバーリンク社のAI顔認識SDK「FaceMe®」を利用しています。当社は販売代理店でもあり、他にも「FaceMe®」を使った顔認証ソリューションも開発しています。今回、CACはFaceMe® SDKを顔認証決済サービスの開発環境で利用できるようにし、顔認証決済システムとしてWebアプリ(登録、変更、閲覧、検索)、POSアプリ(認証、決済) を開発しました。また、CACとミニストップと協業でPOSアプリとミニストップ決済ゲートウェイのインタフェース部分を開発しました。

顔認証決済サービスは手ぶらで買い物できることが特徴であり、この利点を十分生かせるように、

  • WebアプリやPOSアプリが利用者や管理者にとって使い易いように、ユーザー側からの意見を取り入れた
  • セルフレジでスムーズな決済ができるように、画面レイアウト、メッセージ、操作方法の検証を充分に行った
  • 顔認証決済システムと、ミニストップのシステムが疎通できるように、ミニストップ側とインタフェースの仕様検討を充分行い、本番環境に限りなく近い環境で品質テストを行った

など、利用者、運用担当者の双方に使いやすいシステムを開発することを目指しました。開発担当者は、今後もサービス向上に向けて開発を続けていきたいと語ります。

顔認証決済サービスを使ったユーザーの反応

この顔認証決済サービスを利用しているユーザーからは、

  • 「スマートフォンやカードなどの決済用アイテムを携帯しなくても買い物できる点が、大変便利。例えば、急に買い物がしたくなった時、財布やスマートフォンを持っていなくても席に取りに戻らずに、そのままセルフレジで買い物ができる」
  • 「顔認証決済を使った時の購買履歴は、顔認証決済の専用サイトで決済日時と利用額の一覧をリアルタイム(決済後すぐに利用履歴が反映される)で確認できるので便利」
  • 「月次の顔認証決済の利用上限額を専用サイトで設定することもでき、使いすぎを防止することができる」

などのコメントがありました。たとえ社内であっても、決済用アイテムを持っていない時にそれを席に取りに戻るのも面倒なものです。それが顔の認証だけで買い物ができるので、実際にいろいろなところで導入されれば、カバンの中から財布を出す手間や、小銭がなくておつりが煩わしいといったことがなくなることが期待されます。

今後の展開

ここ数年で非常に利用拡大したキャッシュレス決済ですが、さらに利便性やセキュリティ性に優れた決済手段として期待が大きいとされる顔認証決済。

CACの顔認証決済サービスも、このような時代のニーズを背景に開発が行われました。社内実証実験はまだ始まったばかりですが、社内で専用サイトを立ち上げて顔認証決済の利用促進を行ったり、実証実験の様子を社外の展示会に出展するなどの広報活動も進めています。

2021年12月に出展した「ながさきICTフェア」では、学生や家族連れなど一般来場者が多かったこともあり、どのような仕組みになっているのか、と未来の決済方法に関心を寄せていただきました。また、2022年5月の「AI・人工知能EXPO」への出展の際は、来場者に顔登録から顔認証による決済までの一連の流れを体験していただくために、WebアプリとPOSレジアプリを用意してデモを行うなどの工夫をしました。

顔認証決済サービスではこのような社内実証実験や展示会などでの利用体験を通じて、いただいた意見を参考にしながら、利用者のニーズに合わせたサービス化実現に向けて、技術開発への取り組みを進めていきます。

FaceMe®について

AI顔認識SDK「FaceMe®」とは
ディープニューラルネットワーク AI 技術を使用した FaceMe®は、高速な認識速度(0.2秒以下)と高い認識精度(本人識別率 99.7%)、角度のついた顔でも認識する広い認識範囲を実現するリアルタイムAI顔認識エンジンです。
また、IoT用エッジデバイスからクラウドまで様々な環境に幅広く対応していることで、 幅広いユーザーの要求に柔軟に対応できます。

FaceMe®の製品情報はこちら:https://jp.cyberlink.com/faceme

■サイバーリンク株式会社
https://jp.cyberlink.com

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