顔認識技術と顔認証活用のCACの取り組み

人間の「顔」を認識する技術の開発、そして「顔」を様々な認証に利用する流れが加速しています。

こちらでは、急速に利用が進む顔認識技術と顔認証方式の概要を取り上げるとともに、CACの顔認識技術への取り組みをレポートします。

顔認識と顔認証

「顔認識」とは、カメラなどのデジタル画像から人の顔の特徴を抽出して、人を自動的に識別する技術です。例えば、目や鼻、口などの相対的な位置や形、顔の領域の大きさなどを特徴にして利用します。さらに、この顔認識技術を利用した本人確認などの認証方式が「顔認証」です。顔認証のように、本人の身体的特徴で人物を照合するシステムは生体認証(バイオメトリクス認証)と呼ばれています。

顔認証イメージ

人の顔を照合して認証を行うため、顔認証は、なりすましが難しく安全です。また、対象者に非接触で認証が可能です。そのため、カギなどの物理的な道具や指で触れたりなどの動作が必要なく、両手が塞がっている状態でも認証可能なうえ、衛生的で、利便性にも優れています。

「顔認識」「顔認証」の活用はセキュリティ分野などをはじめとして、世界中で進んでおり、中国やイギリスでは監視カメラに組み込まれたシステムに利用されたり、米国などでは犯罪捜査にも利用されたりしています。また、欧州やアジア、米国の大規模空港では入国審査への活用が進んでいます。

日本の空港でも出入国審査への顔認識システムの利用が広がっており、さらに、私たちの身近なところでは、この技術はスマートフォンのロック解除にも採用されています。

このほかにも、イベント会場へのチケットレス入場、一部銀行ATMでの本人確認等、既に様々なシーンで「顔認識」「顔認証」の活用は行われており、今後さらに多くのシーンで、この技術を活用したサービスが提供されると見込まれています。

サイバーリンクのFaceMe®

CACではこうした顔認識技術と顔認証の普及や今後の利用拡大を考慮して、2019年にサイバーリンク社と同社のAI顔認識エンジン「FaceMe®」の販売代理店契約を締結しました。

CAC、AI顔認識の分野でサイバーリンク社製品の販売代理店契約を締結
~ 個人を識別した健康管理サービスや本人確認サービスの提供を推進 ~

「FaceMe®」は、サイバーリンク社のリアルタイムAI顔認識エンジンです。アルゴリズムに、ディープラーニングの活用による高度な AI(人工知能)技術を採用しており、その高い認識精度はアメリカ国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術ベンチマークテストでも世界の上位にランクされています。

FaceMe®は、Windows、Linux、Android、iOS 用に設計され、クロスプラットフォームでの開発に最適です。また、速度や精度、GPUやCPU 処理などを設定して、様々なハードウェア構成のリソースに合わせた動作が可能なため、エッジコンピューティングにも柔軟に対応します。

明るさ補正やシャープネス補正、ノイズ除去等の画質向上技術により、高速な認識速度を実現し、さらに、複数のバイオメトリクス認証技術により、なりすまし防止機能も搭載しています(反射攻撃、プリント攻撃などから保護)。スマートフォンやタブレット内蔵の 2D カメラだけでなく、主要な 3D カメラによるなりすまし防止にも対応しています。

FaceMe®の機能概要
図 FaceMe®の機能概要

顔認識技術と顔認証へのCACの取り組み例

高い認識制度と、環境を問わない柔軟な開発が可能なFaceMe®を活用し、CACではユーザーの皆様にとってより付加価値の高い製品やサービスの開発に取り組んでいます。CACのFaceMe®活用の取り組み例をご紹介します。

例1:顧客の来訪管理(再来訪顧客、VIP/ブラックリストの検出)

小売店などの店舗経営では、来店客の特徴を管理することは、売上拡大のために大変重要です。

来店した顧客が新規顧客なのか、再来訪顧客なのか、さらに、再来訪顧客なのであれば、購入単価が高いなどのVIP(優良顧客)なのか、あるいは店舗にとって好ましくない顧客(ブラックリスト)なのか、といった情報を把握して活用できれば、店舗経営のマーケティング戦略上、非常に有効です。

CACでは、こうした小売店などの店舗の顧客来訪管理におけるFaceMe®活用について、研究を進めています。

具体的には、FaceMe®のSDK(Software Development Kit)を利用した来訪管理アプリで、来訪者のLIVE映像をチェックして、顔画像と顔情報から、初めての来訪者や2回目の来訪者などを判定して、結果を映像上で色分けして分かりやすく表示します。また、VIPも別のアプリで登録して管理しておくことで、来店時に特に目立つようチェックさせることも可能です。

例2:顔認識による特定人物追尾

CACでは、顔認識による特定人物追尾にも取り組んでいます。

顔認識の技術を用いることで不審人物などの特定人物の早期発見などに役立てることが可能です。

人物追尾には物体認識による追尾もありますが、顔認識による特定人物追尾ならば、物体認識では不可能な複数空間での特定人物の歩行ルートを追尾した記録も可能になるほか、所定のルートから逸脱した場合にアラートを発信することなども可能です。

この技術は、病院や介護施設等における患者や入所者の追尾への活用が想定されます。

例えば、病院での立入禁止区域への立ち入り検知やリハビリ許可区間逸脱の検知、老人介護施設での徘徊者の逸脱行動検知などへ利用することで、事故防止等に役立てられます。

例3:入退室管理

FaceMe®は特定の場所への入退室管理のシーンでも活用できるとCACは考えています。

例えば、建設現場へのスタッフの入退場を想定してみましょう。
安全が最優先される建設現場への出入りについては、出入りするスタッフの所属や、誰がいつ、何名入場したのか、といった情報をしっかりと把握、管理する必要があります。他にも、スタッフ以外の許可を持たない人間が入場するリスクも考慮しなければなりません。

こうした建設現場への入退場についても、FaceMe®を活用すれば、顔認識により「どこの」「誰が」「いつ」「何名」などの入退場情報を管理することが可能になります。また、未登録の人間が入場した際には、監督者に当該人物をアラートなどで知らせる、といったことも可能です。特にFaceMe®は複数人を同時に認識できるので、こうした用途に向いています。

こちらでは建設現場への出入りを例として取り上げましたが、より大規模な入退場、例えば、大人数で行われるイベント会場への入退場の管理などでもFaceMe®の活用は考えられます。

例4:eKYC(オンライン本人登録・確認)

eKYCとは、「electronic Know Your Customer」の略称です。

KYCは和訳すると顧客確認の意味で、新規に金融機関の口座などを開設する際に必要な本人確認の手続きを指します。

一般に金融機関などで口座を開設するときには、当初の申し込み自体はオンラインでも、その後の本人確認書類の写しの郵送や金融機関からの本人限定郵便(転送不要郵便)など郵送を介することが少なくありません。

この方法では、金融機関での本人確認完了やユーザーの利用開始まで、数日~10日と日数を要し、スピードや利便性に欠けます。

この煩雑な本人確認の手続きをオンライン上で完結させる仕組みがeKYCです。

eKYCイメージ

eKYCならば、金融機関などの事業者から提供されるアプリなどで、利用者はオンラインでの申し込み、顔写真撮影と本人確認書類(例.運転免許証など)写真の送信が可能になります。データを受け取った金融機関は目視での確認も行い、即日での口座開設通知が可能になり、スピードと利便性が大きく向上します。

CACでは、本人確認が必要な業務を抱える事業者の方々に、eKYCをより安全に、より便利に利用いただけるよう研究を進めています。

顔認識には高精度分析が可能なFaceMe®を用いるとともに、CAC独自の画像認識AI技術を組み合わせることで、正面以外の角度の顔や加工された画像、さらにマスクなどで顔の一部が隠れている場合などのチェックも可能なため、高精度で安全な本人確認が実現できると考えています。

eKYCの利用は金融機関の口座開設だけにとどまりません。本人確認が必要なあらゆる業務、例えば、銀行ATMやスマートフォンアプリのログインなどにも利用できるでしょう。

今後の展開

高い精度を持ち、セキュアな顔認識技術と顔認証の利用は、今後ますます拡大していくと考えられます。また、企業にとっては、こうした安全で安心な技術が従来よりも、より簡単に、より身近に活用できるようになってきています。

CACはすでに、感情認識AIのAffdexや、心拍数推定のリズミル等、顔画像をベースにした製品とサービスを提供しています。そして、これら既存製品や、その他のAI技術とFaceMe®を組み合わせることで、より付加価値の高い製品・サービスの開発と提供に取り組んでいます。

CACは、「HCTech(Human Centered Technology):人を察し、活かし、健やかにするテクノロジー」というコンセプトを掲げて、このコンセプトに基づくソリューションを開発し、提供しようと取り組んでいます。

今後もこのコンセプトのもと、人を中心とした、生産性向上や業務高度化、新たな価値創出等、企業活動を含む人間活動に対して大きなインパクトを与えるAIなどの技術の開発、活用の取り組みを進めていきます。

顔認識技術やFaceMe®に関するお問い合わせ先

本記事でご紹介したCACの顔認識技術や顔認証方式、FaceMe®活用などのご相談は以下のお問い合せフォームまたはお電話番号までお気軽にお寄せください。

株式会社シーエーシー
ビジネス統括本部
デジタルソリューションビジネスユニット FaceMe®サービス担当

CACの顔認識技術や顔認証方式、FaceMe®活用などのお問い合わせ

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