アスクル株式会社様

業界トップを走り続ける原動力としてITを最大限に活用
~ アスクルのより迅速かつ安定したサービスを実現する運用アウトソーシング ~

  • アスクル株式会社ビジネスシステム統括マネージャー 池田 和幸 氏

    アスクル株式会社
    ビジネスシステム
    統括マネージャー
    池田 和幸 氏

  • アスクル株式会社ビジネスシステムエンタープライズシステムマネージャー 臼渕 啓明 氏

    アスクル株式会社
    ビジネスシステム
    エンタープライズシステム
    マネージャー
    臼渕 啓明 氏

  • アスクル株式会社ビジネスシステムマネージャー 小林 悟 氏

    アスクル株式会社
    ビジネスシステム
    マネージャー
    小林 悟

はじめに

今日頼んだモノが「明日来る」。だから、「アスクル」。

1997年の会社設立当初は、この社名の由来や事業内容を説明するのに苦労することもあった。しかし、覚えやすく、インパクトを備えた社名であることも確かであり、「オフィス用品を中心に、幅広い商品を、注文に応じて迅速に配達する」という当社の事業も、「アスクル」というブランドも、広く認知して頂けるようになってきた。
当社が今後とも、当業界のトップランナーの位置を堅持し、継続的な成長を実現するには、課題も数多くある。

特に、重要な課題の1つとして、最新のIT(情報技術)を最大限に活用することが挙げられる。いまや、ビジネス戦略とIT戦略とは、密接不可分だからである。
また、ITをより活用するためには、IT関連業務のアウトソーシングを進めるのも重要なことである。

CACは、当社がシステム運用をアウトソーシングしているITサービス会社であり、当社ビジネスを遂行する上で、大切な役割を担ってもらっている。
本稿では、当社のビジネス戦略、IT基盤、CACの役割などについて概説し、今後の戦略・課題、そしてCACへの期待について述べたいと思う。

お客様のために進化するアスクル

アスクルの沿革・概要と企業理念

(1)アスクル株式会社の誕生

当社は、1997年5月に「アスクル株式会社」としてスタートした。主な事業内容は、FAXまたはインターネットを利用した通信販売方式によって、オフィス用品を利用者に直接、迅速にお届けすることであった。
会社設立は1997年5月だが、それに先立って1990年から総合文具メーカーであるプラス株式会社において「21世紀からの新しい流通」の検討が始まり、1993年にはその原型としてのアスクルサービスが首都圏の事業所を対象に始まった。当時は、まだFAXが主な通信手段だったが、インターネットの商用利用が急速に拡大しており、お客様からもインターネットで注文したいというお声をいただき始めたことを受けて、1997年にインターネットによる受注を開始した。このような成長の経緯の中で、メーカーではなくアスクルサービスを取り扱う流通会社であることを明確にするため、プラス株式会社より分社独立して「アスクル株式会社」を設立するに至った。
この時期、日本では「EC(Electronic Commerce:電子商取引)」が脚光を浴び始め、「B to B(Business to Business:企業・法人向け)」「B to C( Business toConsumer:個人向け)」といった言葉が飛び交っていた頃である。さまざまな事業者がECサイトを次々に開設したが、当社のように、オフィス用品のデリバリーサービスを専門としたEC事業者はなく、我々がこの分野のパイオニアだと言っても間違いではないだろう。

(2)会社概要――アスクルの進化

その後、お客様の利便性を向上させるために、翌日中(または当日)に配達可能な範囲を拡大してきた。これは、現在までに、沖縄や離島を除く、ほぼ全国で実現できている。「明日来る」から「アスクル」という社名を体現する企業へと、着実にサービス網を拡大してきた。
また、お客様のニーズに応じて、あるいは戦略的に、取り扱いアイテムを順次増やしてきた。基本的にオフィスで必要とされるモノであれば、あらゆる商品を扱う。現在では、文具・事務用品はもちろんのこと、PC周辺機器、ソフトウェア、書籍、食料品、清涼飲料水、家電製品、衛生用品、医薬品、医療機器、介護用品などにまで、品揃えは拡大している。
さらには、モノだけではなく、名刺および封筒の印刷作成、伝票等の名入れサービス、オフィス・プランニング・サービス(お客様が最も効率的かつ快適に働けるオフィス環境を追求し、オフィスのレイアウト、オフィス機器、什器備品の配置などを計画・設計する)など、「サービス」も事業に取り込んだ。
今では、オフィスに必要なモノやサービスをスピーディーにお届けする「トータル・オフィス・サポート・サービス」を提供する企業に進化していると言えよう。

(3)企業理念

「お客様のことを考えていこう、もっとお客様を大事にして改善、進化していきたい」
これが当社の企業理念である。すなわち「お客様のために進化する――Innovate for Customer」。
この企業理念の実現のため、最新のコンピュータ・システムを導入・運用するとともに、コンピュータ・テクノロジーと物流に対する投資を積極的に行い、すべてのオフィスをHappyにする「Happy Office Network Service」を提供したい。つまり、私たちが目指しているのは、お客様と社会にとって必要なものを最も望ましいかたちでご提供すること。そのために、常にお客様の声を聞きながら商品、サービスの内容、システム、そして私たち自身を絶えず進化させていく。それがお客様のために大きな価値を創造することにつながる、と当社では考えている。

アスクルの戦略とビジネスモデル

当社は、メーカー(サプライヤー)からお客様までの流通段階のロスを省き、商品だけではなく、情報もネットワークで結ぶことによって、社会全体の合理性を追求し、「社会最適」を実現する(図1参照)。
お客様と当社だけでなく、メーカー(サプライヤー)や、物流パートナーはじめ、多くのパートナー企業と一体化することで、お客様の声に、より的確に、より速く応える。
そして、お客様のための価値創造につなげていく。
特に重視しているのは、次に述べる2つの価値である。

お客様に提供する2つの価値

(1)オフィスのためのワンストップショッピング

メーカーにこだわらず、OA機器から生活用品まで、オフィスで必要なものが、「アスクル」という1つの窓口を通じ、「ワンストップ」で購入・調達できるということである。ワンストップだから、商品ごとに機能や価格を比較検討したり、サプライヤーと交渉したりといった手間をかけることなく、アイテムごとに自社に合った商品を適正な価格で購入できる。

(2)時間を約束したデリバリーサービス

「今日注文すると明日来る」というサービスは、ビジネス上、大きな意味を持つ。企業間競争が厳しさを増している昨今、1日、1時間といった単位でのスピードが、他社に対して優位に立てるかどうかを左右する場面も少なくない。だから、「明日、届けます」と約束し、それを必ず守ることが、重要な付加価値となる。
また、当社にとっても迅速・確実なデリバリーは、お客様の信頼を得る重要なポイントとなる。この信頼性が、新たなマーケット創造の要因であり、実際に当社は迅速・確実なデリバリーをお約束し、実践することで、市場を拡大し創出することができたと自負している。

ITの重要性---優位性を生み出す源泉

図1 アスクルのビジネスモデル
図1 アスクルのビジネスモデル

翌日/当日配達を可能にするロジスティクス

お客様からご注文いただいた商品を、翌日(または当日)にお届けするためには、受注から配達・請求までの一連の処理を迅速にこなす必要がある。当然、当社として、受発注システム、在庫管理システムなどは確実に維持管理する。

しかし、必要十分な商品の調達、確実・安全な配達までを視野に入れると、当社だけでなく、サプライヤー、物流パートナーなどとも密接に連携したロジスティクスの体制が不可欠となる。そこで、図1に示すように、当社(小アスクル)を中心に、パートナー企業をふくめた「大アスクル」が効率的なロジスティクス体制を支えている。

ワンストップショッピングの基盤となるCRM

「ワンストップショッピング」とひとことでいうが、単に購入窓口を一本化できるということだけを意味するのではない。
また、お客様にとって、より便利な「窓口」サービスを提供できるよう、電話/FAX/電子メール/アンケートなどを通じて、お客様からいただいた声は、お問い合わせセンターにすべて集約し、CTI(Computer Telephony Integration)、データマイニングなど最新の技術・手法を駆使して、きめ細かな応対につなげている。
そのようなことを実現するためにCRM(Customer Relationship Management)システムを導入している。
CRMシステムによって、お客様1社1社(または1人1人)を把握することができ、さらなるサービスの提供など、一対一の個別的な対応が可能となっている。

インターネット販売の基盤となるWebシステム

当社がインターネット販売を始めたのは、会社設立と同時期の1997年である。当時はまだFAXによる注文が主体であったが、インターネットの普及とともに、ネットを通じた注文も急速に増え、2008年1月度の現在では、売上高の5割強をネット販売が占めるようになった。
これはもちろんネット販売の有用性が多くのお客様に認知された結果である。ただ、同時に、当社が時代の変化を確実に見通して、お客様に安心してご利用いただけるようなWebシステム基盤を整備し、使いやすいWebサイトの構築に注力してきたことの成果でもあると認識している。

アスクルのビジネスにおけるCACの役割

「止められないシステム」を止めない厳格な運用

CACには2001年から、当社の基幹システムのアプリケーション運用、およびWebアプリケーション運用という重要な仕事をお願いしている。

基幹システムは、インターネットおよびFAX等を含めた全受注データを管理する中枢にあたり、Webサイトは、インターネットによる取引の注文窓口となっている。時間を約束したデリバリー・サービスにとって、これらのシステムの確実な安定的運用は不可欠である。前述のとおり、商品を約束どおり翌日(または当日)にお客様に確実にお届けすることは、当社が最も重視する「価値」の1つだからである。システムの都合で依頼どおりに届かなかったという事態は許されない。また、Webサイトにトラブルがあって一時停止すれば、当社にとっては莫大な機会損失につながってしまう。

このような厳しい条件の運用業務をCACは要求どおりに確実に実行していただいている。これまでシステムのトラブルによって商品の配達が滞ったことは一度もない。Webサイトについては、2003年にB to B(企業・法人向け)サイトの大幅なリニューアルを実施したが、それが動き始めて以降はきわめて安定して稼働している。
CACは、運用アウトソーシングサービス会社として当たり前のことをしているだけと言うだろうが、当たり前のことを当たり前に実行するのが案外容易でないことは、情報システムに携わる者なら誰もが知っていることだ。
ミッション・クリティカルなシステムの安定的な運用という面だけを取り出しても、CACは十分に当社の要求に応えてくれている。

マルチベンダー型システムの統合的な運用

既に述べたように、アスクルのビジネスモデルは、ITを活用してこそ成り立つものである。

ただし、現在、ビジネスシステム部門の社員は20名弱であり、システムの開発や運用は社外の力を借りることを基本方針としている。社員は、顧客ニーズを分析してWebサイトの改善やリニューアルを計画したり、業務部門と一体となって新ビジネスを企画するなど、戦略的な業務に集中する必要があるためである。

システム開発については、案件に応じて、その領域で最良の技術と実績を持っている会社を選んで、システムを作っていくというアプローチを採用している。開発に関しては、そのほうが、メリットが大きい。どのような会社であれ、何でもできるということは実際上ない。強い領域を持っている会社に、その領域で協力してもらうのが一番良い。そうすると、必然的にマルチベンダー型のスキームになる。

しかし、運用は、複数の会社にバラバラに委託するとサービスレベルを平準化することが難しい上、システム間の連携が取りにくい。当社のビジネスプロセス全体の効率性と信頼性を追求するためには、システム運用は集約するほうが、メリットが大きい。ところが、他社が構築したシステムも含め、業務を一体として、当社ビジネスとして統合して運用ができる会社は意外に少ない。CACはビジネスとITの両面を理解した上で、総合的かつ安定的な運用サービスを提供できる数少ない存在である。そうした背景から、CACへの運用のアウトソーシングを開始したのが、2001年のことであった。

CACは、あらゆるベンダーから独立・中立という姿勢を堅持し、幅広い技術に対応してきた企業だという。また、長年にわたってミッションクリティカルな情報システムおよび業務の運用サービスを手掛けてきた。それが単なる謳い文句でないことは、実際に運用を任せてみて、はっきりと実感できた。

必要に応じた的確な提案

これまで大きなトラブルはなかったが、かつてアウトレットセールを実施したとき、サイトにアクセスが集中してスローダウンしたことがあった。その時、CACから「いったんシステムを止めてCPUを増設しては」という提案があった。ちょうど昼休み前だったため、即座に決断を下し、昼休み中に対応した。30分ほどシステムが止まったが、迅速に対応したおかげで、昼休み終了時にはサイトは運用を再開でき、お客様への影響を最小限に留めることが出来た。

こうした判断は難しいが、的確な提案がとても大きな助けになる。処理をしばらく溜めておき、あとでまとめて流す、という程度のスピード感では、翌日必ず商品をお届けするというサービスは実現できない。当然のことながら、システムが止まるというようなトラブルがないよう設計・運用している。しかし、万が一、予想外の事態が起こっても、受託するシステムが守らなければならない本質を理解し、的確な対応方法を提案できるCACのような会社が、本当の意味で技術力のある会社だと思う。

当社の業務と一体となった運用

CACに運用をアウトソーシングしてみて、最も良かったと感じるのは、当社のビジネスの本質を把握し、各業務を深く理解した上で、情報システムと業務を一体ととらえて運用にあたってくれている点である。

これも、長年、様々な企業の各種業務システムを運用してきたノウハウの蓄積があるから可能なことなのだろう。業務を理解していることが、よりよいシステム運用に繋がる。そのために、業務を理解しようと自ら努力する。だから、業務部門にも積極的に入り込んでコミュニケーションを取り、サポートする。CACのスタッフの方には、そういったことが企業文化として根付いているように見受けられる。

業務部門の社員はあまりITに詳しくない。業務として「こういうことをやりたい」と思ったとき、ではそれをITでどう実現するかについて提案をいただけるのが、とても頼もしい。
当社が運用の仕事をCACに一番多くお願いしている理由はそこにある。アウトソーシングサービス会社の中には、SLA(Service Level Agreement)によって自分たちの範囲はここまで、と線を引いて引きこもってしまう企業もある。しかし、CACは、そのような線引きの内に引きこもらず、ビジネスをきちんと動かすために、改善するために、どういうことをしたらよいかという視点で動いてくれる。どうしたらいいか一緒に考えて、悩んで、提案をしてくれる。ビジネスに踏み込んだ形で動いていただいている。そこが我々の望みと合致しているのである。

当社の今後の課題

(1)ビジネス戦略とIT戦略の一体化

当社のビジネスの原動力は、情報システムであり、ITにはできる限り効果的な投資をしたい。単に投資を増やせばいいということでもない。売上高に対するITコストの比率は目標があるので、IT投資の総額はおのずから決まってくる。その中で優先順位を明確にし、バランスを取っていくことが肝心となる。

当社の場合、ビジネス戦略は、ロジスティクス部門、商品開発部門、そして我々システム部門などから、いろいろなメンバーが集まって、将来の展望などを一緒に検討して、戦略を決めていくスタイルを採っている。つまり、企画初期の検討時点からシステム部門も加わって一緒に考える。
IT戦略についても、ITがビジネスを支える基盤なので、ビジネス戦略と同期をとって立案する。サービス内容を追加・変更するためには、当然システムもそれに合わせて変更しなければならない。全社の中長期計画に基づき、我々ビジネスシステム部門はITの中期計画を作り、どのような方針でいつ機能追加などを行うか、社内で共有する。社内からのフィードバックを踏まえて、適宜見直していく。
事前にきちんと計画を詰めて、計画に沿って着実に進めていくという段取りが重要となる。

(2)ユーザーの声の収集・活用

当社では、お客様の声を非常に大事にする。どのお客様がいつの段階で何の商品をお買い上げになったか、というデータの蓄積・分析を通じて、お客様の現在の要望などをすくい上げることが可能である。また、アンケートとヒアリングを実施して、お客様の声を集めている。商品担当(マーチャンダイザー)が、お買い上げいただいたお客様とコンタクトを取って、直接会社を訪問し、フェイス・トゥー・フェイスでお話を伺ったりグループ・インタビューを行ったりすることを、以前から実施している。当社のビジネスは直接販売であるため、商品のメーカーが知りたい情報は、こうしてすべて当社に集まってくる。メーカー各社はアスクルを通じて情報を得て、次の商品開発のアイデアなどにつなげる。そうした情報収集とフィードバックの役割も当社は担っている。

(3)環境活動への取り組み

当社は、商品/サービスにおける環境配慮を最も重要な経営課題の1つと考えている。2004年にはISO14001(環境マネジメントシステム)を取得した。
地球温暖化防止が世界的規模での緊急課題であることが広く認識されるようになった昨今、温室効果ガス排出抑制、天然資源の保護・再生などを意識して、エコロジー活動に多くの企業等が注力している。
当社の場合、OA用紙をかなりのボリュームで販売していることも、エコロジーへの問題意識を高める背景にある。紙資源は環境問題への直接的な関与が大きいため、オフィスにおけるエコロジーという観点から環境活動がスタートした。アスクルでも、社内業務で多数の帳票を使っているので、そうした部分を極力IT化し、レスペーパー化していくことでエコにつなげたいと考えている。インターネットでの注文が増えたことは、紙の節約にもつながっており、環境対策面でもFAXでなく、インターネット販売の増大が望まれる。

(4)専門ショップのさらなる充実

2004年1月、「アスクル メディカル&ケア カタログ」を創刊して、メディカル&ケア事業に参入。Webサイトも医療・介護施設の方が見ても分かりやすいようリニューアルした。
2006年には、オフィス用家具を中心に、別冊「家具カタログを発刊し、Webサイトにも「家具ショップ」を設けた。
当社は従来から、「飲食業務用品ショップ」や「梱包資材ショップ」など、業種ごとのニーズに合わせた専門商品を集積した専門ショップを展開しており、今では11ショップにまで拡大している。
今後も、専門ショップをニーズに合わせて拡充し、お客様が目的に合わせて商品を探しやすいような工夫を続けていきたい。

(5)個人向けを新たな成長の柱に

2007年12月3日に、個人向けサイト「ぽちっとアスクル」を始動させた。もともと「ポータルアスクル」という個人のお客様向けのサイトも設けていたが、これを、個人のお客様を含むスモールビジネス層をターゲットとして再定義の上、最新のWeb技術を投入して、リニューアルした。
今後は、個人による起業の増加とともに、SOHO(Small Office/Home Office)も増え、個人事業主も含めて、個人が今後、当社の潜在顧客として存在感を増してくると予測している。今後は、個人向けの分野を、成長の第2の柱として確立していく方針である。
「ぽちっとアスクル」は、法人向けにビジネスを展開してきたアスクルが、初めて本格的に個人向けのサービスを展開するサイトであり、今後とも、より個人のお客様のニーズに応じてサービスを充実させ、サイトも改善していく。

CACへの期待――「縁の下の力持ち」から「前面に」

上記に述べたさまざまな課題を達成する上では、今まで以上にITが重要な役割を担うことになる。新しいことに挑戦していくにあたり、積極的に新しいITを取り入れていくという、当社のスタンスは変えない。

CACには、今までに見たことも聞いたこともないシステムや業務を運用してください、というお願いをすることもあるだろう。
新しい企画では、成功へのベストの方策が見えているとは限らない。試行錯誤を繰り返しながら最適解を見つけ出さなければならない。そんなとき、こうすればきちんと運用していけるはずだ、という知見をぜひ当社にフィードバックして、我々を助けてほしい。そして何より、安定したサービスの提供を変わらず継続してほしい。ITのプロフェッショナル企業として、常に最新技術をウォッチし、重要な技術にはいち早くキャッチアップしてもらいたい。これらは、ITサービスのユーザーとしては、当然のお願いである。

また、コストパフォーマンスに対する意識が厳しくなり、ローコストのオペレーションが課題になる。最新の運用技術、運用ツールを駆使して自動化できるところは自動化して、コスト削減に努めていただければと思う。自動化も含めて、運用サービスの品質向上に取り組んでもらえれば、それによるコスト削減の効果は、CACにとっては利益率の向上という形で還元され、お互いに有益な関係を維持できるだろう。
情報セキュリティの実現、先述した環境に対する取り組み、新しいサービスの提供など、ITで実現できる多くのことも引き続きお願いしたい。
アスクルの進化をいろいろな面で支えていただくことが、会社としての要望である。

そういう意味で、我々はCACのことを、運用サービスを通じて、当社のIT基盤を下支えする「縁の下の力持ち」というだけの存在とは考えていない。既に、CACのスタッフの方は当社業務の一部に入り込み、時宜に応じて有用な提案をいただいているが、我々としては「さらに前面に出て、CACの専門的な領域で当社をリードするような提案をぶつけてほしい」と思っているのである。

おわりに

ビジネス基盤であるシステムの運用アウトソーシングサービスを提供する企業は、顧客の企業概要はもちろん、ビジネスの特性や事業戦略まで深く理解し、顧客企業とともにビジネス戦略を考え、ITの専門家として絶えず効果的なアドバイスや提案を示すべきだと、我々は考えている。
CACは、それが実践できる企業であり、実際に当社にとって、そのような存在である。

  • 記載事項は2008年5月現在のものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承ください。
    また、本事例紹介は、情報提供のみを目的としています。CACは、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
  • 記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。

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