今後の展望
ワールドワイドな規模での情報インフラ共通化も検討
アステラス製薬は海外展開にも積極的であり、海外売上の比率は約半分に達しています。こうしたことから、将来的な課題としてまず挙げられるのが、ワールドワイドでの標準化です。すでに日本では、Windows を標準プラットフォームと決めています。これまで、その標準から独立した存在だった基幹システムも、今回のアップグレードとマイグレーションによって標準に統一されました。一方で、「海外拠点の中には、今でもWindows の信頼性・安全性などについて疑問視している拠点もあり、そうしたところにどのように標準プラットフォームを広げていくべきかが、今後検討していく課題」(齊藤氏)とのことです。「明確なメリットがあれば、今回の日本の実績を活かして海外に展開するということであって、単純に本社に追随してアップグレードやマイグレーションを行なえばいいというものではないと考えています」と道家氏が言うように、システム構成の最適化ということが前提となるようです。
インフラシステムを担当する齊藤氏が、「日本で基幹システムにWindows を採用したことに対する注目が高いことは事実です。そのため今回のプロジェクトは、構築だけでなく、今後の運用も含めて絶対に失敗できないプロジェクトというプレッシャーも感じています」と語るように、Windows を採用した新システムに海外拠点も注目しているとのこと。システム構築や運用面でのコストダウンは、日本だけではなく、海外にも共通する重要なテーマです。「今回の成果も含めて、海外拠点の情報システム担当者とは定期的にミーティングを行い、方向性の確認を続けて行く予定」と道家氏が語るように、海外拠点とのコミュニケーションを活発化し、方向性の統一化・共有化を進めていく考えとのことです。
効率化したコストを戦略的システムに再投資して競争力アップへ
今後、「業務の拡大や追加に応じて新しいアプリケーションやモジュールを導入するといった、システムの継続的な改革は続いていく。その時にどのような影響が出るのかなどを検証するテスト環境の充実も必要になってくる」(道家氏)こともこれからの検討課題。できれば本番環境並のテスト環境が構築できればという考えもあります。いずれにせよ「UNIX からWindows に転換したことはゴールではなく通過点のひとつに過ぎない。インフラとして見れば、安定稼動する基盤としての位置づけが重要」と齊藤氏は語ります。これからも効率的なシステム運営を実現し、コスト削減を図ることはもちろん、それにより創出できた資金をシステムの再投資に回すなどして、より戦略的なシステムの構築を行う考えのアステラス製薬。そのことを通じて、情報システムが今後の同社の競争力アップにいっそう貢献していくことになるでしょう。 |